著者の講演ビデオ


「病気の感情的な原因について」
2012421日、ダイミエル(Daimiel)にて。 主催: Afibroc

 
-本日はお集まりくださり、ありがとうございます。会場が満席で嬉しく思います。まず、今日のゲストをご紹介いたします。
ヴィセント ギリェム・プリモ博士は、バレンシア大学で生化学博士号を取得され、現在は、バレンシア大学病院の血液・腫瘍科に勤務し、がん遺伝子の特定に関する研究をされています。自由な時間には、完全に無償でレイキ治療をされています。また、病気と感情との関係性を知ってもらうために、講演も無料でされています。
全人類への愛のメッセージを贈る『魂の法則』の著者でもあり、この本は、無私の志に基づいて流布・頒布されています。
ヴィセント博士は、「いい研究者とは真実を知りたいと思う人だ」と考えていらっしゃいます。また、「科学は精神性と折り合いがつかないのではなく、迷信や狂信を嫌っている」とおっしゃっています。職場外では、今日のような講演を通じて、人々に感情的な葛藤が多くの病気の原因になっていることを知ってもらい、初めの一歩として葛藤を解消してもらおうとされています。
スペインの作家、ルイス ロサーレスの「新しい希望を持てると、過去を別の目で振り返ることができる」という言葉を引用させていただいてから、ヴィセント ギリェムさんに引き継がせていただきます。それではどうか、ヴィセントさんのお話をご堪能ください。
 -今日の講演テーマは "病気の感情的な原因について" ですが、それは私が、がんを含む肉体的な病の多くが感情面と関係があると思っているからです。ご紹介いただいたように、バレンシア大学病院で働いるのですが、私は研究所にいて、がん遺伝子の特定に関する研究をしています。ですが、科学的な分野に携わることによって、科学がまだ、がんやその他の多くの病気に関して、考慮に入れていない物事が存在しているということに気づくことができました。その中の一つが、感情面での問題なのです。ですから、今日は、その感情面の問題が病気に及ぼす影響をみていきたいと思います。
それから、本日の主催者は線維筋痛症(せんいきんつうしょう)協会ですので、これについてのお話もさせていただことと思っております。
講演の前半では、感情面を考慮に入れて病気やその治療法を理解を試みる、ハマー博士の新ドイツ医学について時間を割き、後半では、病気の霊的な意味について話したいと思いますが、それは私が、病を霊的な視点から捉えない限り、病気を完全には理解することができないと思っているからです。また、この視点についてお話することで、私が書いた『魂の法則』をご紹介し―それについては耳にしたことがあるかも知れませんが―、また『魂の法則』第二となる『愛の法則』についてもお知りおきいただきたいと思います。第二冊目は一冊目の続編となるもので、特に愛情に焦点を当てています。なぜなら、感情を発達させることは幸福の基本となりますし、多くの場合に感情を抑圧することが、苦しみや病気の大きな原因となっているからです。
前半の話を始めるに際しては、現代医学においてがんというものが、どのような捉え方をされているのかを見てみたいと思います。まず顕微鏡を通して、がん細胞の増殖がどのように見えるかご覧いただきます。
スクリーンでご覧いただけますが、黒い部分のがん細胞がどのように大きくなっていくかお分かりになると思います。というのも、がんとは細胞が増殖することですし、成長が止まらなければ腫瘍を形成してしまい、その周りにできる血管がそこに栄養を送り始めることになるのです。そして、場合によっては、細胞が血流にのって流されて、別の部位に運ばれて、そこでまた腫瘍を形成するということにもなります。それが、通常「転移」と呼ばれるものです。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。細胞の増殖が制御できなくなることは、医学上では、遺伝子異常だとされています。遺伝子は、各細胞にどのように機能すべきかの指示を与えるのですが、―今ズームで細胞を拡大していますが、細胞の核の中に遺伝子がある訳で―その情報に従って、細胞は機能しなければならないのです。しかし、遺伝子の図面が損傷してしまえば、細胞は死んでしまうか、逆に、増殖を制御できなくなってしまうのです。
遺伝子異常の要因となるものには、化学的なものと物理的なものがあります。今スクリーンにはDNAの構造が映っていますが、化学的・物理的なインパクトを受けて鎖が断ち切れ、遺伝子が変異してしまうのを思い描いてみてください。
しかしながら、がんを患っていたり遺伝子異常がみとめられるにも関わらず、遺伝子を損傷させるような化学的・物理的外因に全くさらされていなかった人達が大勢います。
それでは、そのような場合の遺伝子変異に関しては、どのように説明をつけることができるのでしょうか。がんになっていても、遺伝子を損傷させる外因がなかったのはなぜでしょう? この疑問を投げかけておくことで、少しの間考えていただきたいと思うのですが、今度は、現代医学でどのようにがんを治療しているのかをご説明しようと思います。
現代医学で用いられる手法は、変異がある細胞の破壊を試みるのが主流です。がん細胞を破壊する上での問題点は、通常、従来の医療では、化学療法や放射線治療を行うのですが、そのような治療では、健全な細胞と異常のある細胞とを見分けることができないことです。普通の細胞にまで影響を与えてしまう、つまり、全細胞に影響してしまうので、このような治療の副作用は大変強いものです。
今ご覧頂いているシーンは、病院で治療を受ける人達が、抗がん剤の入った袋から点滴を受けているところですが、帽子をかぶった人がいるのは、ご存知のように副作用の一つとして髪の毛が抜け落ちてしまうからですが、それが一番酷い副作用ではなく、身体器官に害を与え免疫系の細胞がやられてしまうこともあります。身体の免疫が失われると、全身が弱まり、全ての臓器や組織が影響を被ってしまうのです。
しかしながら、一般的には、以上のことは「必要悪」だとされていて、病気を治癒させる上で通らなければならない道だと言われています。実際、多くの人達がそうだと確信して、治療を受け始めます。ですが、私はある時に「これらの治療法はどの程度効果があるのだろうか」、「治療をすることでもたらされる恩恵は、副作用より大きいのだろうか」と自問したのです。
この質問を頭におきながら、スクリーンのグラフをご覧ください。これはスペインにおけるがんによる死亡者数の推移を表したものです。1991年には、8万人近くががんによって亡くなっています。それが、薄い青色で表示されている棒グラフになのですが、当時の人口比での割合を人口の増加も考慮に入れて換算すれば、2000年における予測は、8万人強、つまり濃い青色で表示してあるグラフになる筈だったのです。ところが、2000年における実際の死亡者は、―それを赤色で示しますが―、9万人以上だったのです。
つまり、2000年の数値を見る限り、この間に多くの医学の進展があったにも関わらず、死亡者数を減らすことはできなかったということです。
それで「これは一体どうしたことか、用いられている治療法はどこまで有効なのだろうか」という問いとなり、現代用いられている治療法の効果が問われる訳です。
治療の有益性は何も私だけが疑問視したことではなく、他にも多くの研究者たちが提起している問題です。その中の一人に、生化学者であり2001年にノーベル医学賞を受賞されたティム·ハント博士がいますが、彼は抗がん剤の効用について尋ねられたときに、次のように答えています。
いくつかの例外を除いて、抗がん剤治療は、余り成功しない。一般的に、 化学療法は有効ではない。 がん細胞に焦点を当てることができずに、全細胞に影響してしまう。髪は抜け落ち、病気だと感じさせる。 化学療法は、理にかなわない治療法だ。
彼は、この言葉を化学者として発言しているだけではなく、がん患者の家族として言っているのです。彼のお父さんががんで亡くなっているのですが、彼も病気の全過程を共に経験したわけなのです。それで、治療による副作用も見たのですが、病気が治るという願いが叶わずに亡くなってしまわれたので、どの程度の効用が得られるのかと疑問視することとなったのです。そして博士は「何かが間違っている。病気の研究に関しては、まだ足りないことがあるが、それは一体何だろう。もしかすると、我々は正しく前進できていないのかも知れない」という言葉を付け加えることとなったのですが、私は、研究すべき対象としてまだ不充分なその何かは、感情面が病気の形成に及ぼす影響だと思っています。つまり、人間の精神状態です。
その話をするにあたって、つまり、精神状態がどのように健康と病気に反映されるかに関しては、別の研究者の業績について話させていただきます。それが、ドイツの研究者ハマー医師なのですが、彼の話をするのは、彼が一番最初に一番深く病気と感情との関連性を、根拠ある科学的なレベルで追求した人だからです。
彼の発見は、彼と彼の家族の私的な人生体験と大きな関係があります。ハマー医師は、ミュンヘン大学病院の腫瘍内科の主任を勤めていたのですが、ある日、悲劇的な出来事によって人生が覆されてしまったのです。その悲劇は、彼の息子ディルクに起きたことだったのですが―スクリーンに映っている若者です―、イタリアで休暇を過ごしているときに頭に弾丸を受け、意識不明となり、何ヶ月も昏睡状態が続いた後に亡くなってしまったのです。
皆さんはそれが、今日のテーマとどう関係があるのかと思われることでしょうが、それが大いに関係があるのです。というのも、この悲劇の後、ハマー医師と奥さんは二人とも同時にがんになってしまうのです。彼のがんは睾丸にでき、奥さんのは乳癌でした。奥さんは、結果的に亡くなってしまい、先程言ったように息子さんも死亡していたのですが、このような状況のときに、ハマー医師は息子さんと出会う大変はっきりした夢を見て、別の存在次元で息子さんが生き続けていると確信したそうなのです。その後、ハマー医師は自然にがんから回復し、新しい研究を始めるのですが、その研究は、彼のがんも奥さんのも、悲劇的な形で息子を失うという非常に強いトラウマが原因ではなかったのか、という仮定に基づくものでした。そこで、病院の他の患者さんたちもひょっとしたら、何らかのトラウマが原因で病気になったのではないかと考えたわけです。
ハマー医師は、病院ではいいポジションにいましたから、がん患者に聞き取り調査をして感情面での問題があるか調べたわけです。また、医者として、必要な検査をし、何年もの研究の末10万件以上のケースを分析した挙句、一連の結論に達するのです。それを今から、要約してみます。
その結論の一つが、「ハマーの第一鉄則」と呼ばれるもので、「全てのがんは突然訪れ孤独のうちに苦しむ重い精神的なショックから生まれる」と規定したのですが、時間の経過と共に概念を広げ、「がんだけではなく多くの病気を生命が脅かされるような緊急事に起動する生体プログラムであり、それは精神的または肉体的な問題によって引き起こされる」と修正しました。これについては、後で、例を挙げて説明します。
ハマー医師の他の発見について話しますが、それは、精神的な葛藤が起きると脳の一部に変化が見られ、それは電気的ものなのですがTAC、つまり脳内スキャナーで検出することができるのです。脳内に見られるその電気的な変異は、同心円状の印として表れるので「ハマーの焦点」として知られています。
今スクリーンに映し出されているのは、感情的トラウマを持った人の脳内TAC実施時のものです。ダーツのまとのような円形をお分かりいただけるでしょうか。(立ち上がって、そこを指し示す) 直径が大体このくらいのまとです。こちら〔右〕のまとは、ここに中心がありますが、その影響は脳全体に及んでいます。
ハマー医師によると、感情的葛藤の強さが電気的な障害の程度を決めます。つまり、葛藤が大きいほど、変異が大きく重い病気になるということです。しかも、脳内のどこが影響されるかは偶然ではなく、トラウマの種類によって脳が影響される場所が決まっており、その部位と病気になる臓器には相関関係があるのです。
この三つの関係〔トラウマの種類・影響される脳の部位・病気になる部位〕をご理解いただけるように、線官乳癌の例を挙げて説明してみたいと思います。感情面としては、家庭内における心配事か紛争が原因となります。脳のレベルでは小脳が影響します。スクリーンでは小脳をピンク色で表示しましたが、その断面を見てみたのが下の図で、矢印で示した二つの円が、家庭内での心配事や紛争があった場合に電気的な変異となって表れる「ハマーの焦点」です。そして、そのようなケースで影響を被るのが、乳房だということになります。
小脳の左が影響された場合は、右の乳房に響きます。小脳の右側でしたら、反対側になります。どうして、反対の方の病むのでしょうか。左右の脳はどちらも身体の反対側と連携していることをご存知ですね。ですから、右脳が脳溢血になった人は身体の左側がマヒするのです。それと同じことがこのケースにも当てはまるのです。
ハマー医師は、がんであろうと他のものであろうと、病気には特定の経過段階があるとしています。ここで、ハマー医師がんと同等だとする病は、同じ様に細胞が異常増殖するものや、細胞が破壊されて組織が損傷するもの、またはマヒのように細胞の機能が低下するものです。
感情的なトラウマがない場合には、人はよく眠ることができますが、葛藤が生じて重度の悩み事を抱える場合には、そのトラウマに文字通り囚われて、眠ることすらできなくなり、不眠症になってしまうことがあります。眠ることができないという事態が細胞の休息を妨げてしまい、精神面での問題が肉体にも影響することとなるのです。要は、細胞にも休憩を与えなければならないのですが、睡眠がとれないということは、細胞の通常のリズムを乱して細胞を過度に活動させることになるのです。これが細胞または肉体レベルでのストレスとなります。それを身体は非常事態だと受け取って、その状況に対処するようなメカニズムを起動させます。この時点で、精神的なもんだいは肉体面での問題となります。
もしここで葛藤を解消することができれば、浄化の期間を経て、損傷をうけた臓器や組織を回復させて通常の状態に戻っていくことになります。でも、正常に戻ることは、一夜のうちに成し遂げることができず、炎症のプロセスを経ることになります。捻挫や火傷の場合に、その部位の細胞が再生するために腫れるように、病からの回復時にも、影響を受けていた器官が再生しようと腫れることがあるのです。その組織が腫れて免疫系が機能し始めることによって、病気は多くの場合、葛藤が続いている間には発見されずに、問題が解決に向かっている時点で発見されるものなのです。痛みや目に見える腫れによって、病気が治癒に向かっている段階で見つかることが多いのです。

(つづく・・・ここまで全体の20%くらいです)