2015年2月27日金曜日

31 イエスの地上での使命 ―その2―

*イエスが新たに転生するかについて話していたので、彼の再来を予告しているらしい黙示録のことを思い出しましたが、その見解は正しいのですね。

 ああ、そういうことだよ。

*でも黙示録では、地球の未来におけるさまざまな事象についても予告をしていますが、その多くが破局的なものです。そのような予言は的を得ているのでしょうか? この件について、少し説明していただけないでしょうか?

 前にも言ったと思うが、黙示録というものは、起こり得る地球の未来のヨハネによるビジョンの一つに過ぎない。ヨハネはその中で、地球で起こる可能性のある一連の事象――あるものは人間によって引き起こされ、他のものは自然の地質的変化の結果であった――と、その時期に人類が経験する事件や変革を見ることができたのだ。そして、彼はそれらを自分の能力の範囲内で、その時代の人たちに伝えようとした。
 全部の事象を一遍に伝えているので、すべてがあっという間に起こるという印象を与えるが、実際にはこれらの物事は千年単位の長い期間に及んでおり、最終的には人類の霊的な進歩が起こるのである。
 その時に、人間は、自分たちがどこから来てどこに向かうのかをはっきり知ることができ、人類よりも高次の存在がいるということを発見するだろう。神を筆頭に(ロゴス)キリスト、イエス、それに君たちの見知らぬ存在や名のない者たちが、人間を愛し、その霊的な成長と幸福とを見守ってくれていることに気づくことになる。

*黙示録ではキリストの再来を告げると共に、反キリストの王国のことにも言及していますが、反キリストはいるのでしょうか? これから生まれ変わるのでしょうか? それはいつでしょう?

 悪において全能な者などは存在しないと話したと思うが、害を及ぼそうという明確な目的意識で生まれてくる魂などもいやしない。悪いことをしてしまうことになっても、霊的なミッションのようにそれを目的にしているわけではない。どんな魂であろうとも、あらかじめ悪い意図を持って転生することなどないのだ。そうではなく、霊的に進化していないがために、生まれ出ると自分のエゴの衝動につき動かされて、悪に傾倒してしまうことになる。
 したがって、君たちが、反キリストという存在が極悪で、世を破壊してキリストやその支持者をやっつけることを目標にして生まれてくると思っているのだとしたら、そんな者は存在しないと言っておこう。

 
*反キリストが存在しないのだとしたら、黙示録ではどういう意味でこの言葉を使っているのですか? それとも、これも文書が改ざんされたせいなのでしょうか?

 ヨハネには、未来で起こる物事が、愛に反する利己的な価値観に支配された人類の巨大なエゴのせいに見えたということだ。またメッセージの一部は、後世に簡単に改変されないように隠語で伝えられている。
 こう考えれてみれば、反キリストという者は、未進化の人間の利己的で野心的かつ無慈悲な面を表した象徴的な存在ということになり、そのために兄弟たちに多大な害を与えてしまうのである。つまりそれは、エゴが人格化したものなのだ。
 また反キリストの王国というのは、エゴに支配された世界を表している。我々がキリストの教えを無条件の愛だと受け取るのであれば、反キリストとはキリストと反対のことをする者であり、愛と真逆の者のことなのだ。

 
*では、皇帝ネロやナポレオンやヒトラーなど人類に大きな痛手を与えた人物たちは、反キリストだったのですか、それともそうではないのですか?

 反キリストというレッテルを貼られたこれらの人物は、たいそう利己的な者たちで、野心や権力への野望につき動かされて、人類に多大な被害を及ぼした。だが彼らのような者は、歴史上には幾らでもいた。現在でも存在しているし、エゴが世の中で幅を利かせている限り、これからも存在し続けよう。世間の目にもっと重々しく怖く映るかもしれないだけで、彼らをどのような名で呼ぼうと、今より善くなるわけでも悪くなるわけでもない。

 
*黙示録に出てくる世の終わりというくだりは、2012年に人類の大惨事が起こるとしているマヤの予言を彷彿させるのですが。

 君は、西洋人がマヤの記録にそう書いてあると思いたい、と言いたいのだろうね。なぜなら、マヤ族の子孫にそのことを訊いてみるなら、そんなことはない、と答えるだろうよ。

 
*でも2012年には、人類を滅ぼすことになる天変地異とか第三次世界大戦の開始とか、何らかの終末的な出来事が起こるのでしょうか? 
 

 2012年には、そういったことは何も起こらない。自然災害は、今までと同じような頻度であり続けるだろうが、そのどれも、地球環境を破壊させるほど甚大なものではない。君たちは自然災害のことをすごく心配しているが、それらは君らには防ぎようがないだろう。それなのに回避可能な、人間の仕業である戦争や残虐行為などの事象については、ほとんど気にかけることがない。
 残念ながら君たちの世界で頻発している紛争は、現在とほぼ同じような傾向で継続するだろうし、愛についての意識が変わらない限り、この状況は続く。だが今のところは、地球や人類を破壊するようなことは何も起きない。

 
 思い起こしてみれば20世紀の終わりにも、ノストラダムスの大予言に基づく似たような強迫観念があって、世紀末から21世紀にかけていろいろな大惨事が起きると予告されていた。だが、2001年になっても、何も起きなかった。些細なことをおおげざにしたのは、多くの人びとの狂信や妄想や無知である。このようなお粗末な占いを信じてしまう人たちは、霊的進化という真に大切なことに集中できなくなり、恐怖や幻覚の狂気に囚われてしまう。
 先にも言ったが、近く到来する変化の根本的なものは霊的なもので、これは特定の年や日付に限定されるものではなく、何百年にも及ぶ時代を包括するものなのだ。2012年にこの世が終わると思っている者たちは、大いに失望するであろう。

 
*それから、世界のさまざまな場所で終末感が漂う超常現象が起こって――ルルドやファティマにおける出現のことです――大きな反響を呼びましたが、そこには真実の部分もあるのでしょうか?
 
 本当なのは、霊媒能力を持つ人と直接交信してメッセージを伝えようとする、霊的な存在がいるということだ。メッセージは個人的なものもあるし、全体に及ぶもののこともある。
 通常はそのような出現があっても、体験者に分別があり、その現象を言いふらせば精神異常者にされるのがおちだと知っているので、あまり大きな騒ぎになることがない。だがルルドとファティマのケースでは、それを見たのが子どもたちであり、彼らが目撃したことを自然体で話したために有名になったのだ。

*ルルドとファティマの場合に出現したのはマリア様だったと言いますが、それは本当ですか? どんなメッセージを伝えたのでしょうか?
 

 いや、現れたのは聖母マリアではない。もっともこれは、どちらでもいいことである。だが、女性の姿を借りて現れた高次の霊であったというのは確かである。
 もっとも、マリアだと名のったわけではない。名のることは滅多にないし、名前を言ったとしたなら、それは総称なのだ。それが聖母マリアだということになったのは、子どもたちが教えられた信仰の人物と結びつけたからか、そのヴィジョンの後で、大人たちがそれをマリア様だと子どもたちに思い込ませてしまったからである。
 もたらされるメッセージは一般的にとても明確で、人間が進化するためにこの世に存在していることや、エゴを解き放ち愛する能力を発展させねば進化ができないことなど、我々が話している内容に沿っている。また時には、個人や集団としての利己主義が将来全体的に引き起こすことになる、戦争などの未来の危険性についても警告する。

 だがこのようなメッセージを受け取ると、教会がしゃしゃり出て来て、自分たちに都合がいいようにそれを歪曲したり、利益を損なわれないように知られたくないことを黙殺するのだ。
 聖母マリアは特に利用価値がある。マリアとおぼしき人物が現れたのは、キリスト教へ改宗するように人類に呼びかけるためだと思わせて、さらに信者を増やそうとしたり、現状を保持しようとする。それに狂信と迷信が加わり、これらの場所は巡礼の中心地となる。こうして、信者の狂信と無知の犠牲の上に、莫大な儲けを得るのだ。

 
*教えてもらえるとしたらですが、ファティマの第三の秘密とは何でしょう?

 霊的世界が秘密にしておきたいと思ったなら、世に伝えることなどなかった筈だ。霊的世界からのお告げに鍵をかけてしまっておくのは、それを公にすると明らかになってしまうことを怖れる人間のエゴ、特に世の中で物的な支配権を持つ者たちのエゴのせいだ。しかし、このことで頭を悩ますのはやめなさい。そこで告げられたことは、他の方法で、もう開示されているからだ。